コップの手入れ(グッズの紹介)
強化ガラス製の市販品と違い、手吹きガラスは繊細です。
「ヒビ」「割れ」といった大きな破損より、「口(フチ)が欠ける」タイプの破損が起こりがち。
シンスケで6年間コップを使った結果としても、落下以外の破棄はすべて「欠け」による破損であり、その原因は、
(1)洗うときに他の酒器類と衝突
(2)保管場所へ置く時にコップ同士が衝突
ことによるものでした。
当初は、強化ガラス製コップにおいて最適だった固定式ブラシ(業務用ポットブラシ)で乱雑に洗ったためでもあるでしょう。
その経験を経て、代わりに見つけたのがこのツール【アズマ コップ洗いスポンジ ゴッシュ小】です。
スポンジの気泡が細かくて洗剤の泡立ちがよく、油汚れもしっかり落とし、万が一「欠け」や「割れ」があったとしても不要に手を切ることがありません。
大と小の2タイプありますが、コップには小がベストです(大をコップ洗いに使っていると、スポンジの先が変形したり切れやすい)。
念のためですが、手吹きガラス製品を洗うのに食器洗浄機を使うことはお勧めできません。
といいますのは、温水シャワーを食器に当てて洗う構造になっているため、洗浄器内で食器の衝突が起こりやすいからです。
乾燥モードは利用できますが、食器コーティング剤入りの洗浄機専用洗剤でなければ、ガラスに白く水滴の跡が付着するのでご注意ください。
シンスケではコップを洗った後、この【日東紡 新しいふきん】で二度拭きしています。
グラス専用クロスには多種あり、もっとも美しく拭けるのはマイクロファイバーなど特殊繊維を使った製品。
ただ、熱に弱くて洗濯乾燥機が使えないこと、ふつうの布類と一緒に洗うと他の繊維まみれになって台無しになるのが欠点です。
対してこのクロスは、糸落ちや毛羽立ちが少なく、ふつうに洗濯が可能。使えば使うほどやわらかくなり、手にもグラスにも馴染んできます。コップの手入れに迷われたらぜひお試しください。
業務用の固定式ブラシ
シンクに吸盤で固定し、グラスを穴に突っ込んで洗う。強化ガラスのコップ洗いには大活躍でした
グラスを磨くということ
ときどきお客様から
「なぜ二度拭きするの? 一度で必要十分だと思うのだけど」
と質問されることがあります。
酒場・バーでは「グラスを拭く」のと「グラスを磨く」のをはっきりと分けて考えます。
バーの場合、前者は「汚れと水分の除去」であり、後者は「グラスの検品」という意識だと聞きます。
シンスケの場合、前者はバーと同じ意識ですが、後者の「グラスを磨く」意味がちょっと違います。
我々にとって磨くとは、まさしく「研磨すること」。
ピカピカに光を反射するグラスは清潔感があり、見るからに気持ちがよいもの。ただ、夜に商う酒場においては「光りすぎること」をリラックスを妨げるノイズだと捉えています。
だから、クロスの繊維を使って「フラット(光沢)をマット(半光沢)に研磨すること」を目的としています。
その効果と正当性はともあれ、【東京の酒場】という空間の在り方を物語る独特の価値観かもしれません。
日東紡の新しいふきん
左は下ろしたての新しいコップ。右は6年磨いたコップ。
比較すると、光の反射がやわらかく抑えられているのがわかる